煌楼 100号×100号
五感を貫く強烈で清新な
      いまの時代精神の”太陽”

赤津 侃

 旅は画家に啓示を与える。のびやかな英知と柔らかな感受性をもつ画家には、とくに強く。渡辺悟は2004年11月、メキシコへ旅した。太陽の神殿やピラミッドを見て、古代のサイクル史観の太陽神話を聞き、心は太陽の如く燃えた。これが太陽シリーズの始まりである。爾来、画家は対象を深く見据え、対象を愛し、さらには太陽に絶対の美と力を確信してきたようだ。
 渡辺の太陽は、思惟と感情が存分に込められた圧倒的な表現で画面いっぱいに拡がり、鮮烈きわまる光と熱のイメージがほとばしってくる。見るものの五感を貫く強烈で清新な宇宙の根源と生命力が、大胆で明るい色彩と明快な円のフォルムと巧みな画面構成で展開する。視線は太陽に吸い込まれ、画面を何度も往還し、内部にイメージをつくりあげる。その吸引力と絵画力は見事である。それを支えるのは、一切の余剰を刈り込んだ簡潔で膨大な内の集積と重層化であり、生の感情の込もった鮮烈な色彩の喚起力であり、堅固で秩序ある構成と相まって生まれる壮絶なハーモニーである。渡辺の太陽は、内在する輝きに満ち、躍動する生命力にあふれ、強力なエネルギーを放出し続ける。画面は生動感とリズムと緊張に満ち、”沈まぬ太陽”に昇華している。濃密な空間と凝縮した時間も内包し、無限の高揚感を得る。いまの時代の眼で宇宙のダイナミズムを把えた太陽である。宇宙時代の時代精神(Zeitgeist)の太陽を渡辺は描き続ける。

(美術評論家・あかつただし)




 
 
 
 
 
 
 
-渡辺悟 web gallery-


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